ガチャポン

 東海地震という呼称が使われなくなった。南海トラフを中心とする巨大連動地震の怖れがある。被災者は飲み水だけでなく、洗濯物などの生活用水も多量に必要とする。飲料水としては長期保存の水がある。

 日本の中心部で巨大地震が発生したら、物流はおろか、救援もままならない。水の確保は相当量必要とすることは間違いない。後片付けの後、手を洗う水も欲しい。体も拭きたい。飲めない水でも、きれいであれば使える。

 東北地方の震災で、井戸水が役立ている写真が新聞に掲載された。我々NPOおたすけへの井戸の注文は電動ポンプから手動ポンプへとシフトしている。最近は手動ポンプばかりである。我が市は一部を除いて、多量の水を簡単に汲み上げることができる。手動ポンプ(通称ガチャポン)で容易に吸水できる。逆に、液状化現象が怖いほどである。

 暑い最中でも、注文がある。だが、完成するものはどれも同じ。知人から皆同じ写真だろうと非難を受ける。確かに写真を見る限り大差はない。でも、我々には苦労して堀り、水脈に当たった喜びは皆違う。一つ一つ違っているのだ。

今年最後の井戸掘り

 今年最後の井戸掘りを昨日朝から始めた。先週末より始める予定であったが、寒さが厳しいので延期していた。施主の病院側も了解して頂けたのでありがたい。同病院グループでの井戸堀は3本目に当たる。

 災害に使うとの計画で手動ポンプ(通称ガチャポン)を設置して利用して頂いている。誰でも出入りできる駐車場に設置してあるので、いたずらされないように管理はしっかりしている。

 今年も多くの井戸を掘った。水がたくさん出れば施主に大変喜ばれる。慰労会までして頂ける施主さんまで現れる。大変嬉しいが恐縮の限りである。楽な工事もあるが、とてつもなく難工事もある。10日程かけて工事しても水脈に当たらないこともあった。そんな時は施主さんに申し訳ない気持ちでメンバー全員が暗い気持ちになる。わずか2m程は慣れたところで掘ってみると水脈に当たることもある。こんな時は歓声が上がる。

 畑の水が欲しいと井戸掘りを考えられる農家の方。防災時に生活用水水位として利用したい個人や団体。夏の散水にと庭作りに凝ってみえる方。注文される方はそれぞれ。庭の散水には電動ポンプをお勧めしている。水が出た時の施主さんの笑顔。我々はこの感激に力を貰って、今年最後の作業に頑張っている。<<働くメンバー>>

お披露目式

 先日、児童公園で掘った井戸。自治会の方々と市役所職員及びおたすけのメンバーが参加して簡単な式典を行った。鉄分を多く含んだ水。PHは7。有毒重金属は含まれてはいない。子どもが水遊びしても心配はない水質である。

 汲み上げ式には、自治会長、市役所職員代表及びおたすけ理事長が協働で吸水した。その後、子どもたちがポンプを動かして水を出し、花壇に植えられた花に水を。靴も服も濡らしながらの水遊び。本当に楽しそうであった。

 戸田自治会長さんは、「皆の力で井戸端会議をやりましょう」と挨拶。希薄な近所付き合いの今日。井戸端会議で近所付き合いを取り戻そうと。おたすけもそんな計画に協力することができ、感謝している。市内各児童公園でこのような動きがあれば、子どもたちも安全。利用のしかたは様々。災害時にも生活用水が近場で入手できよう。色々役立てて欲しい井戸水。

万歳

 井戸掘りの作業は辛い。どんな地盤かわからない。地下に大きな石や流木があれば掘れない。掘り進んでも、水脈に当たらないこともある。それでも、自然の恵みを探し当てる喜びはひとしおである。

 鉱脈を求めて彷徨い歩いたカーボーイに似ているかも知れない。ただ、それで一儲けしようと企んでいることは決してない。だから、血みどろの争いは起こらない。ただ、水が出たときの依頼主の喜びが嬉しいだけである。

 今回の依頼主は自治区。皆さんが利用される公園。危険がないように配慮も必要。日曜日1時半より再掘。すぐに水脈に当たる。凄い圧がかかる。多量の水が出る。消火ホースで飛ばしたときには、自治会の皆さんが歓喜で「バンザーイ」と叫ばれた。こちらもつられて「万歳!」。手動ポンプの取り付けは25日(木)の予定。花壇作りは来週。

 成功したときには、機材の片付けも軽やか。自治会の人と万歳の歓喜で親しさが倍増したような気持ちになる。工事の進行は順次アップします。写真は万歳する自治会の皆さん。

児童公園にて

昨年から北名古屋市の市民活動推進課より話がでていた。今月になってやっと児童公園井戸・花壇設置業務が進展の運びとなった。地区は西之保。

 先週の土曜日、NPOおたすけ、、地域の皆さん、市役所市民活動推進課職員が参加して、井戸を掘る場所に会長さんが厳かに鍬入れをした。そして作業が始まった住民の方の積極的な手伝いに作業は順調に進んだ。だが、時には不運に見舞われることも。それでも、住民の方とおたすけのメンバーが和気藹々と本当に井戸端会議を。井戸の使い道を談義。花壇だけではもったいないと。この日は翌日曜日には掘り当てるめどがついたので、1時過ぎには終了。

 個人や会社、神社からの委託ばかりであった。他県まで井戸掘りに出かけたこともあった。合併後、市制になって公の事業は初めてであった。子どもたちがさわっても危険はないのかなど色々議論してきた。

始動

 今年の初仕事は2月から始まった。市が開催した韓国フェスティバルの応援であった。ポン菓子、綿菓子、ポップコーンの製造と販売であった。2日間の開催期間は超冷え込んだ日であった。

 冷たい北風が吹く中、市の文化勤労会館玄関前でポン菓子のはぜる景気のいい音を鳴らしてフェスティバルが始まった。綿菓子、ポップコーンの製造は玄関ホールへ入っての作業となった。ポン菓子は音がするので、やはり外で。

 スタッフ10人で製造販売をこなした。領事館の公用車が玄関前に到着。領事館が玄関へ入らず、いきなりポン菓子製造に釘付け。「韓国にもあると」と喜んでおられた。開会式のスピーチにポン菓子を持って登壇。これほどまでに日本と韓国の文化が類似しているとは思えなかったと感想を述べられた。韓国にもあることはスタッフは知らなかった。

 ポン菓子作りは、今月8日(日)市の木津山公園でも開催する。井戸掘りは3月末から開催している。今年も、NPOおたすけが活躍できることを期待したい。別件だが、よく相談に出かける東邦工業さんがホームページをオープンされた。

小牧で悪戦苦闘

 6月29日に屋敷の南側にて井戸掘りを始めたけれど、1メートルほど掘り下げるとその下は石の層で、これ以上は掘れないと伊藤さんに現状を見せる。伊藤さんは「どこなら掘れるのか?」と井戸には執着されていた。「この地層では水圧で掘ることはできない。手掘りで行うには人が入れるだけの広さがなくてはできない」と答える。


屋敷の北側を案内され、「ここでどうか?」と言う。狭いけれど出来ないことはないと引き受けたが、これほど大変な作業になるとは思わなかった。機械が入らないので、人が手で掘るしかなかった。初めは、狭いところだったので掘った土を置く場所にも困った。やはり1メートルほど下は石の層で、まるでコンクリートで固めたように硬く詰っている。これをバールでこじ開けて1個ずつ取り出して、つるべの要領でバケツに載せて外へと放り出す。穴が深くなれば、作業が出来にくくなるので、穴の大きさを広げなくてはならない。穴の中にひとり入っては穴を広げ、石を掻き出し、バケツに入れ、引き上げて放り出す。これを繰り返すが、石の層は固くてビクともしない時もあり、悪戦苦闘の日々が続いた。

7月1日から始めて、途中でお盆休みが会ったけれど、今日まで延べにして22日間、掘っては石を出し、石をバケツで上に上げて、放り出す作業が続いた。お盆過ぎからは穴底に水が溜まりだしたので、今度は水を汲んでバケツに入れ、つるべで上げて流す作業が加わった。水を汲み、バケツで上げて流し、石を掻き出し、バケツに入れて放り出す。繰り返し、繰り返し行った。次第に水が溜まるのが早くなってきた。地上から6メートル、穴の大きさは縦横1.2メートルくらいはある。手掘り井戸はここまでが限度だろう。さらに中心部を掘り、ここに吹上管を置き、管の外側にさらに直径の大きな塩ビ管を置いて保護する。穴の底から大きな石を置き、できる限り溜まる水の量を確保するように工夫をする。さらに、掘り出した石を入れ、最後には上にあった土を入れ戻して作業を終える。吸上管は電動ポンプにつなげればそれで完了である。



 すべての作業を終えるにはまだ3日はかかるだろう。しかし、本当によく出来たと感激する。穴の中には人はひとりしか入れない。道具はバール1本で、手で引っかいて石を取り出し、バケツで上に上げる。こんな原始的な作業を長く続けられたのは、井戸を掘るという執念と根気とチームワークだろう。